新日本婦人の会「女性・子どもの貧困解決のための緊急要求 ーだれもが大切にされる社会へ」

新日本婦人の会

 い ま、「保育園落ちたの私だ」デモをはじめ、「ブラックで働くのは私だ」「特養を待っているのは私だ」など、主権者として自分たちの求める政治を政府に迫る 行動が各地で広がっています。背景には、経済規模で世界3位という「経済大国」で、相対的貧困率が16.1%と史上最悪となり、子どもの貧困率も 16.3%に達するなど、6人に1人が貧困と格差に苦しむ現実があります。

とくに深刻なのは女性たちです。非正規雇用の7割が女性であり、 女性の平均賃金は男性の約半分、働く単身女性の3分の1が年収114万円未満という「貧困女子」そのものです。保育所に入れない待機児童問題が社会問題に なるなか、「働きたくても働けない」「働いても暮らせない」など女性たちに矛盾が集中し、ひとり親家庭の貧困率は54.6%にのぼり、ダブルワーク、トリ プルワークを余儀なくされています。

女性の低賃金は、そのまま年金額に反映され、「自分の年金だけで生活できない人が8割に」(新婦人アンケート)となり、若い世代から高齢世代まで貧困が広がっています。

1、貧困と格差をひろげた原因はここにあります

<非正規化と使い捨て労働>貧 困問題が深刻になった要因の一つは、「規制緩和」「雇用形態の多様化」の名で労働法制が次つぎ改悪され、派遣や契約社員など雇用の非正規化がすすんだこと です。ブラック企業、ブッラクバイトなど、長時間で低賃金、無権利の働き方が急速にひろがり、「使い捨て労働」「過労死寸前!」と悲鳴があがっています。 労働者の賃金はこの20年間で年45万円の減(この4年間で20万円減)。貯蓄ゼロ世帯は全世帯の3割(1892万世帯)となり、働いても暮らしていけな い「ワーキングプア」が増え続けています。

<社会保障・教育費の削減>  社会保障費や教育費の削減政策も事態をいっそう深刻にさせています。年金給付や生活保護基準が引き下げられるなか、医療や介護は保険料も利用料も上がり、負担増が重くのしかかっています。

教育の分野でも、日本は教育機関への公的な財政支出が経済協力開発機構(OECD)34カ国中最下位の3.5%、高い学費と奨学金(利子付き貸与)という借金が貧困をひろげ、「給食費が払えない」「高い学費が払えず退学した」など、教育を受ける機会を奪っています。

<アベノミクスの失政>  「アベノミクス」による生活必需品の高騰や消費税の8%への増税が低所得層を直撃しています。その一方で大金持ちへの優遇税制や法人税減税などで、「日本 の富裕層」上位40人の資産総額は、この4年間で7.2兆円から15.4兆円へと2倍以上になり、大企業の内部留保(ためこみ金)は300兆円を超えてい ます。本来、格差を是正し貧困を減らすために、所得の高い人には多く課税し、所得の低い人に給付を手厚くするという所得の再分配が機能しなくなっているの です。

2、女性・子どもが希望を持てる社会へ切りかえるときです

日本国憲法は、だれもが健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しています。「経済大国」日本には、お金があります。「国土強靭化やオリンピックの名による巨大開発はいらない」「5兆円を超す過去最大の軍事費を削り暮らしへ」の声も高まっています。

安 倍首相は、「女性が輝く社会」「一億総活躍社会」を掲げた「新三本の矢」①希望生み出す強い経済・GDP600兆円、②夢を紡ぐ子育て支援・出生率 1.8、③安心につながる社会保障・介護離職ゼロを打ち出し、参議院選挙を前に「ニッポン一億総活躍プラン」を策定するといっています。しかし、実態にか みあった具体策は何もなく、逆に労働法制と社会保障制度のさらなる改悪をすすめるなど、「一億総老後崩壊」へつきすすもうとしています。

今 年3月、国連女性差別撤廃委員会は日本政府に初めて女性の貧困対策の解決を迫り、「シングルマザー、寡婦、障害のある女性、高齢女性のニーズに特別の関心 を払い、これらの女性たちの最低生活水準を保障する年金制度改革」を要請、国連子どもの権利委員会も「子どもの貧困とその克服のために必要な予算措置を」 とるよう勧告しました。

大軍拡と経済の軍事化をともなう「戦争する国」づくりと貧困・格差を著しく広げる新自由主義経済からの大転換が待っ たなしです。貧困世帯にいっそうの困難を強いる消費税増税・社会保障改悪を中止させ、日本国憲法、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約にもとづくだれもが 安心して暮らせる社会へ、市民と野党共闘によって戦争法(安保法制)廃止、立憲主義の回復、個人の尊厳を守る新しい政治の実現へ、今すぐ実現すべき項目を 要求します。

3、緊急に次のことを要求します

<税金の集め方、使い方を変えて、暮らしにまわす>
・低所得層に負担が大きい消費税10%への引き上げは中止すること。
・大企業への法人税減税をやめるなど、大企業と富裕層に応分の負担を求めること。
・不要不急の大型開発や5兆円を超える軍事費を暮らし、福祉、教育、震災救援にまわすこと。
<国の予算を増額し、子育てや教育費負担の軽減を>
・国は、子ども医療費無料制度を早期に創設し、中学卒業までをめざし、当面、就学前までの無料制度をつくること。
・子ども医療費を窓口無料にすること。国は現物給付にした市町村の国民健康保険(国保)国庫補助金の削減(ペナルティ)をただちに廃止すること。
・公立などの認可保育所の新増設を大規模ににすすめること。国は、保育所の一般財源化をやめ、保育予算を抜本的にふやすこと。
・保育士の給与を引き上げるなど、保育士の処遇改善をただちにおこなうこと。子どもや保育士を追い詰める保育基準の切り下げをやめ、
・すべてのひとり親家庭の経済的支援をつよめること。児童扶養手当の引き上げ、所得制限の見直し、多子加算の引き上げをおこなうこと。
・小学校・中学校の義務教育の完全無償化をめざし、給食費を無料にすること。
・就学援助を拡充し、支給時期を3月に前倒しすること。
・高校授業料の無償化をすすめ、大学等の学費を下げること。奨学金はすべて返済不要の給付制とし、当面ただちに無利子化を実施すること。
<生活できる賃金と社会保障の拡充を>
・同一価値労働同一賃金の原則にもとづき、非正規と正社員、男女の賃金格差の是正をおこなうこと。ただちに時給1000円以上、さらに1500円へ最低賃金の底上げをはかること。
・残業時間の上限を法律で決め、長時間労働の規制をおこなうこと。
・切り下げた医療、介護、年金、生活保護制度を国の責任で復活と拡充をはかり、介護労働者の処遇改善をはかること。
・低すぎる年金制度をあらため、だれもが最低生活水準を保障する年金制度をつくること。
・公営住宅、公的家賃補助制度など住宅支援を強化すること。

女性・子どもの貧困解決のための緊急要求 ーだれもが大切にされる社会へ