保育所保育指針改定案に対するパブリックコメントを提出しました

保育に「国旗」「国歌」を持ち込む保育所保育指針改定案に反対します

2017年3月6日 新日本婦人の会中央本部

 

今回出された保育所保育指針改定案の第1章で、保育所の役割として「保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい場でなければならない」としています。一方で、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「ねらい及び内容に基づく保育活動全体を通して資質・能力が育まれている子どもの小学校就学時の具体的な姿であり、保育士等が指導を行う際に考慮するもの」とし、矛盾する記述になっています。多くの保育所で現在行われている発達段階をふまえたていねいな保育や園での生活が、「小学校就学時の具体的な姿」という全く異なった価値観から子どもに強制されるものになることが懸念されます。

さらに、第2章で「国旗・国歌」に関する内容が新設されていることに大変驚きました。

第2章の3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」のウ「環境」の(イ)内容の項目⑫で「保育所内外の行事において国旗に親しむ」という項目、また、(ウ)内容の取扱い④で「文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国家、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりする」という項目は、指針改定の議論のとりまとめにもなかったもので、重大な内容を滑り込ませたかたちです。

現在、大阪の森友学園が経営する塚本幼稚園で、子どもたちに教育勅語を暗唱させるなど戦前の軍国主義教育を彷彿とさせる時代錯誤の「教育」が問題になっています。「国旗」「国歌」「唱歌」も戦前に戦意高揚や臣民としての道徳を強制させた過去を持つものであり、安倍政権がすすめる「戦争する国づくり」のための人づくりと指摘せざるを得ません。

さらに、まだ「国」とは何かを知らない子どもたちに「国」への従順をせまり、評価するというのでは、自分で考え自分で判断するという主体的な子どもは育ちません。特に幼児期は、身近な大人への信頼と子ども同士のつながりをつくっていく大切な時期です。そこへ「国旗の掲揚」や「国歌の斉唱」を押し付ける外部からの圧力がかかることは、その後の子どもの人生を豊かにするものであるとは考えられません。保育に「国旗」「国歌」を持ち込むことに強く反対します。

女性の就労が進む中で、今年も待機児童問題は解消されず、首都圏では3人に1人が希望する保育園に入れない深刻な事態です。先日、国会内でも保護者らの集会が開かれ、親の就労がおびやかされ、相次ぐ保育事故で安心安全な保育が守られていないと声があがっています。また、保育士の賃金は指針改定案の第5章「職員の資質向上」で求められている専門性にふさわしいものではなく、保育士不足の大きな要因となっています。今回の指針改定案は、「安心安全が担保された認可保育所を増やして、待機児童をなくしてほしい」「専門性に見合った賃金を保障してほしい。保育士全体の給与の引き上げを」という保護者や保育士、また当事者であると同時にこの先の社会を支えていく子どもたちに寄り添う姿勢が乏しく、実効性のないものであると強く指摘します。