主張と見解

「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価」(案)についての意見

内閣府食品安全委員会事務局評価課 「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価」 意見募集担当 様

新日本婦人の会中央本部

食品安全委員会プリオン専門調査会によるこのたびの評価(案)は、食の安全を願う消費者にとって以下 の点から到底受け入れられないものであり、撤回を求めます。国内、輸入ともに規制緩和はせず、全頭全月 齢を通じ、特定危険部位の除去ならびに検査を義務付けるなど国民の健康やいのちを守る行政をおこなうこ とを求めます。

1.TPP推進がらみで規制緩和を前提に出された「評価」であり、認められません

昨年 11 月、野田首相の「TPP参加のための事前協議を開始する」との表明を受け、米国がTPP参加 の前提条件として日本にBSE対策の緩和を求めてきたことは、周知の事実です。日本向けに輸出を伸ばし たい米国畜産業界の要求を飲むための、「規制緩和ありき」の評価は認められません。

2.米国産牛肉には多くの問題があります

1)米国のBSE検査率 0.1%に基づく「BSE発生の減少」に信頼性はない

日本では消費者からの強い要望もあり、自治体の努力で全頭検査が続けられています。しかし米国では、 3400 万頭の屠畜牛に対し、約 4 万頭のBSE検査を行っているにすぎません。低い検査率の中でBSE 牛の発生が減少しているというデータは信頼性に欠けます。

2)米国では 1 頭ごとのトレーサビリティがなく、全頭検査を求めるべき

1 頭ごとのトレーサビリティが確立している日本と異なり、米国では牛の月齢確認は、歯によっておこ なわれています。しかし栄養状態や品種、固体差による差異など必ずしも正確ではなく、歯による月齢判 定のためのデータやマニュアルは存在しないと専門家は指摘しています。あいまいな月齢判定にもとづく 規制は改め、国産牛と同様に全頭を対象にBSE検査を行うことを輸出国に求めるべきです。

3)米国では飼料規制が不十分で、BSE牛の発生が危惧される

1993 年当時、ヨーロッパでは牛の肉骨粉を反すう動物に与えることを禁止していたものの、 豚、鶏用 に肉骨粉を使用し、牛の飼料に混入したためにBSEを発生させました。2009 年から米国で行われてい る同様の飼料規制は不十分で、BSE牛発生の危険があり、BSE対策としては実効性に疑問があります。

4)非定型BSEの発生や感染のメカニズムは不明のままで、規制緩和は認められない

日本では 23 カ月齢牛に非定型BSEが発生しています。非定型BSEについては発生や感染のメカニ ズムは分かっていない、と専門家も指摘しています。科学的にも分からないことが多い非定型が発生する なか、国内、輸入ともに規制を緩和せず、全頭検査を行うことを求めます。

5)特定危険部位の除去を 30 カ月齢超とせず、全月齢でおこなうべき

米国産牛肉については、これまで特定危険部位の除去を条件に輸入してきたにも関わらず、脊柱などが何 度も入り込んでいました。今後も危険部位が付いた 30 カ月齢超の牛肉が輸入される規制違反があっても、 月齢判定があいまいでこれを正すことはできません。

6)予防原則を守り、国民のいのちを守る立場に立った行政を求める

BSE感染牛を食べたことによって発症すると言われる変異型クロイツフェルトヤコブ病は、死に至る 病気です。「リスク差はあったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」とした答申案は、 国民の健康やいのちを守るべき行政が、「危険は非常に小さくても、排除する努力をする」という予防原 則を投げ捨て、その責任を放棄するもので、重大です。

「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価」(案)についての意見