2020年3月5日 新型コロナウイルス

「新型コロナウイルス感染対策の『学校休校』措置にかかわる緊急要請」

 新日本婦人の会は3月5日、「新型コロナウイルス感染対策の『学校休校』措置にかかわる緊急要請」を文部科学省、厚生労働省に提出し、担当各課との懇談を行いました。

 子育て世代の会員を中心に22人が参加。要請書と全国から寄せられた約180人分の声を文書で手渡しました。

 参加の会員からは「学校預かりは、私語禁止、昼食、トイレ・手洗い以外は立ち歩き厳禁。5時間座りっぱなし」「学童も過密状態で感染が心配」など切実な声が次つぎ。

 文科省、厚労省の担当者からは「現場での柔軟な対応ができるよう、通知を出している」「お聞きした要望は持ち帰って検討する」などの回答が。「子どもたちの気持ちに寄り添った対応を」と求めました。

 参加者からは「各自治体への申し入れもしたい」など、感想が出されました。


文部科学大臣  萩生田光一  様

「新型コロナウイルス感染対策の『学校休校』措置にかかわる緊急要請」

2020年3月5日
新日本婦人の会

 

 

子どもたちのための日頃のご尽力に感謝いたします。

 新日本婦人の会は、子どもや女性の幸せ、ジェンダー平等と平和を願って草の根で活動する国連NGOの女性団体です。

 新型コロナウイスル感染が拡大するなか、政府が突然発表した「学校一律休校」要請と後追いの方針は、現場に大混乱をもたらし、子ども、保護者、学校や学童保育などの現場からも日々「困った」の声があがっています。

 会に寄せられた声には、「子どもが家に缶詰でストレスだらけ」「ゲーム漬け」「行くところもなく、しっかり換気した学校の方が安全では」「学校で預かってもらえたが、私語厳禁で弁当、トイレ以外は教室軟禁」「過密な学童で感染が心配」「パートを休めず家計ピンチ」「共働きで他県の実家に子どもを預けた」など、切実な声であふれています。(別紙)

 子どもの権利条約は「子どもの最善の利益」や「子どもに特別なケアを及ぼす必要性」をうたっていますが、このままでは、子どもの健康と安全を守るどころか、一番の犠牲者が子どもたちとなっています。政府と文科省は混乱の責任をとって、科学的な根拠を検証し、現実的な対応に改善することを求め、緊急に以下、要請いたします。

 

<学校>

○突然の政府による「一律休校」要請によって、学校現場は混乱しています。今からでも柔軟に「休校中止」「卒業式開催」「登校日を」など、現場の声をよく聞き、対処は現場に任せ、その判断を最優先し、最大限の支援をすることに徹してください。

○特別支援学校については、子どもたちや保護者の状態や条件に応じた特別の配慮と支援をしてください。

○希望する生徒に学校給食を提供してください。食材を提供する業者や農家への十分な保障措置を急ぎとってください。子どもたちの食を保障している「子ども食堂」などへの財政支援を行なって下さい。

○学習の仕上げの時期となる3学期の学習の遅れや、4月に実施される「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」を心配する声が上がっています。現場まかせにせず、2020年度の全国学力テストの実施を見送り、学習保障の指針を示してください。

 

<学童保育、子どもの居場所について>

○学童保育は今でさえ指導員の人員不足です。ふさわしい人的条件を整え、財政的な支援を国で責任をもってください。

○「学校預かり」でも問題が噴出しています。子どものストレスを少しでも和らげるため、適宜遊べる自由時間、校庭や体育館の開放を見守りの体制をとって保障など、各地の知恵や工夫例を急いでつかんで広げてください。その際、万が一の事故の担保されるよう、スポーツ振興センターの災害共済給付制度の対象にしてください。

○子どもたちが安心して遊べる屋外の場所などを緊急に多数確保し、医学などの専門家のアドバイスを聞いて安全な遊び方を提示、見守りの体制もつくって、広報してください。

 

<親の仕事と生活保障について>

○学校休校にともなって仕事を休んだ保護者に対する所得を補償する制度の創設について、対象を小学校と特別支援学校に限定したり、適用期間を2月27日から3月31日とせず、上限額を引き上げ、本人に不利益にならないよう、徹底してください。

○休業となった正規労働者、パートやアルバイト、派遣など非正規労働者が、有給の特別休暇がとれるよう、また自営業者、フリーランスには貸付ではなく、給付による損害補償をおこなってください。

※データは以下よりダウンロード可能です。

新型コロナウイルス感染対策の「学校休校」措置にかかわる緊急要請

 

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