2016年2月8日 ジェンダー平等

第60回国連女性の地位委員会への声明

2015年10月15日
新日本婦人の会

私たち新日本婦人の会(新婦人)は1962年に創立、全国で約15万人の会員が核兵器廃絶、女性・子どもの権利、平和のための世界の女性との連帯を目的に掲げ活動しています。

平和で公正、持続可能な世界へ、先進国が率先して行動を

第70回国連総会で採択された「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が、17項目の持続可能な開発目標を、途上国の課題への支援にとどまらず、先進国も行動すること、社会のすべての人がとりくむものとして打ち出したことを歓迎します。私たちは、先進国の一員である日本の女性団体として、日本政府が率先して行動するよう求めていきます。
目標の第1の貧困の根絶は、私たち自身の課題です。安倍首相は「女性は成長戦略の要」「女性が輝く日本」とアピールしてきましたが、新たに「一億総活躍社会」を掲げて「強い経済」「子育て支援」「安心の社会保障」を柱とする政策を打ち出しました。昨年の消費税増税でGDPは落ち込み、雇用の非正規化が一層進んで女性は56%にのぼります。女性が多くを占めている派遣労働を原則自由にして正規雇用への道を閉ざす派遣法の改悪も行ない、女性の経済的自立の基盤を壊しています。「子育て支援」を言っても、保育所の待機児童数増加、保育料値上げなど、安心して子育てができる条件はむしろ悪化しています。社会保障費の削減計画を推し進め、年金も医療も国民の負担を増やし、安心どころか、将来への不安は増すばかりです。TPP参加や温暖化対策を口実にした原発再稼働・原子炉輸出も、国民生活よりも多国籍企業の利益を優先させる成長戦略の一環です。東日本大震災・東京電力福島第1発電所の事故の被災者支援も打ち切る方向です。一方で軍事費は過去最大の支出、憲法違反の武器輸出まで推進しています。
軍事国家づくりと一体となった「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざす安倍政権の経済政策のひとつひとつが、国民の多くの批判を招き、女性たちは「女性の『活躍』を言うのなら、正規雇用と賃上げを、保育所を、年金引き上げを」と声を上げています。

女性に対する暴力根絶へ、軍事主義の克服を

2015年4月から5月にかけて開かれた第9回核不拡散条約再検討会議へ、日本から630万を超える核兵器禁止条約の速やかな交渉開始を求める署名を届けました。新日本婦人の会はそのうち150万を集めました。被爆者とともに核兵器の廃絶を求めて行動してきた被爆国の私たちの運動が、国際政治において人道的視点から核兵器の全面禁止をめざす流れが大きく広がる変化をつくってきたと確信します。
安倍政権は、戦争放棄と軍備不保持、交戦権の否認をうたった9条を持つ日本国憲法に違反し、自衛隊をいつでも世界のどこにでも派遣し軍事行動に参加できるようにする戦争法を強行採決しました。「戦争する国づくり反対」「民主主義守れ」の声と行動が空前の規模で広がり、強行後も、戦争法の施行を許さず、廃止をめざすたたかいが続いており、政党、団体、個人の共同で新しい政府をつくろうという運動も起こっています。このたたかいのなかで、女性と若者の変化が際立っています。国会前はもとより全国各地で「子どもを戦場に行かせない」「誰の子どもも殺させない」「自分たちの未来は自分たちが決める」と、グループを立ち上げ行動しています。
こうした軍事化路線は、安倍首相が強調する「紛争下における女性に対する性暴力根絶」と矛盾するものです。何より、日本は自らが行なった最大の人権侵害であり戦争犯罪である日本軍「慰安婦」問題を解決する責任があります。しかし、安倍政権はその解決どころか、「強制性はなかった」と事実さえ否定し続け、被害女性の尊厳と人権を踏みにじっています。
9月29日、日本政府は「女性・平和・安全保障に関する」安保理決議1325の国別行動計画を発表しましたが、市民社会との協議を重ねて策定した最終案に対し、「序文」にあった戦時性暴力を含む日本の過去の戦争責任への記述を削除するという重大な改変が行われました。また、米軍による性暴力への記述やヘイトスピーチへの対処も削除されています。知事を先頭にオール沖縄で新基地建設反対の運動を続けている沖縄をはじめ、日本には130を超える米軍基地・施設が置かれ、米兵による女性や少女への性暴力など深刻な基地被害が続いています。1325決議の趣旨や目的から離れた行動計画にした政府の責任は重大です。
1325の国別行動計画の日本語版では、「ジェンダー」がすべて「男女共同参画」「性別」「女性」などと言い換えられました。ナショナルマシナリーの重要なポストを担う内閣官房長官が「たくさん産んで国家に貢献を」と発言し、批判を招きました。安倍内閣は、首相以下女性を含め閣僚の大半が侵略戦争の事実を認めず、戦前の軍国主義と家父長制の国をよしとし、女性差別撤廃条約さえ否定する立場をとる極右の内閣であることを、女性たちは見抜いています。
新日本婦人の会は、「平等・開発・平和」を掲げて、持続可能な開発目標達成、平和で公正、持続可能な世界の実現をもとめ、内外の女性たちと連帯し行動していくことを表明します。
第60回国連女性の地位委員会への声明

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