2020年3月11日 アクション

【要請書】東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から9年、 国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください

 新婦人は東日本大震災から9年にあたり、内閣総理大臣らに「東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から9年、
国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください」を送付しました。


内閣総理大臣 安倍晋三様

復興大臣 田中和德様

経済産業大臣 梶山弘志様

文部科学大臣 萩生田光一様

環境大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災)小泉進次郎様

内閣府原子力委員会委員長 岡芳明様

原子力規制委員会委員長 更田豊志様

 

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から9年、

国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください

2020年3月11日
新日本婦人の会
会長 米山 淳子

 

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から9年、今も約4万8000人(復興庁210日現在)が避難生活を余儀なくされ、全国各地で暮らす「自主避難者」も少なくありません。震災関連死は3739人(同2019年9月30日)と増え続けています。国の生活再建対策の不十分さと遅れは重大です。住まい、生業、地域コミュニティーづくりをはじめ、健康的で当たり前の生活が送れるよう、被災者一人ひとりの声に耳を傾け、政府の責任で生活再建優先の支援策を行なうよう強く要望します。

 福島原発事故により原子炉格納容器内は手がつけられないほど高い放射線量で、収束や廃炉の見通しもたたず、原因の究明や増え続ける放射能汚染水対策の見通しもたっていません。次つぎと「帰還困難区域」の避難指示が解除されていますが、12市町村の帰還状況は、住民登録数(4万6529人)に対して28.5%(1万3248人)に留まっています(NHK調べ)。国の加害責任を認めた裁判は7件(2020年3月)に上っており、国と東電は完全賠償し、すべての被災者の生活と生業が再建されるまで責任を果たすことが求められています。

 昨年の台風19号や記録的な豪雨など、温暖化による異常気象が相次ぎ、大地震や火山噴火とともに豪雨や豪雪などの対策も急がれます。兵器爆買いなどの軍備増強、大型開発優先をやめ、防災・インフラの老朽化対策、復興へ思い切った体制と財政投入など抜本的な対策へと切り替えるべきです。さらに社会保障切り捨てや消費税増税など貧困と格差を拡大させることは、復興や防災を妨げるもので、その転換が求められます。

以下、強く要請いたします。

<復興支援>

1、復興庁の2031年までの存続が決まったが、国は生活と生業の復活、再生へ最後まで責任を持つこと。被災自治体が負っている復興事業費の一部は、自治体負担をなくすよう復興財源を確保し、さらに自治体が自由に使える財源もつくること。

1、被災者生活再建支援法の上限を500万円に引き上げ、支給対象は半壊・一部損壊など拡充すること。被害戸数にかかわらず適用できるようにすること。在宅被災者への支援を強めること。二重ローン解消へ収入基準を見直し、引き上げること。

1、仮設住宅、みなし仮設からの一方的な追い出しはせず、支援を継続すること。災害公営住宅への入居資格を緩和し、在宅被災者を含む希望者全員が入居できるようにすること。被災者が住み続けられるよう、家賃減免措置等を継続する法整備をすること。仮設退去時の備品譲渡は、希望する全仮設入居者を対象にすること。

1、被災者の医療費、介護保険等の一部負担金(利用者負担)の免除継続へ国は財政支援をおこなうこと。

1、被災自治体の職員採用、派遣職員の受け入れにかかる経費の全額を国が負担する震災復興特別交付税による措置を復興が完了するまで継続し、拡充すること。

1、生活支援員を増員し、仮設住宅や災害公営住宅の被災者のほか、在宅被災者の孤立や孤独死防止、心のケアのための見守りや相談を強化すること。コミュニティーの維持、精神疾患や認知症などへの対応策を強化すること。 

1、心のケアを必要とする子どもが増えており、正規教員による1000人の教育復興加配を継続・拡充すること。養護教諭の複数配置、スクールカウンセラーの全校常時配置、中学校区単位でのスクールソーシャルワーカーの配置、児童福祉司、児童心理司の大幅増員をおこなうこと。

1、災害援護資金の返済は、各人の実情に合わせ、一方的な取り立てはおこなわないこと。

1、生業の再建を希望する企業や事業者に対するグループ補助金等の支援策を継続・拡充すること。補助を受けた事業者のフォローアップを講じ、返済は各事業者の実情に合わせ、一方的な取り立てはおこなわないこと。台風によって新たな被害が生じている沿岸漁業へ、追加の支援をおこなうこと。

1、暮らしに欠かせない住民の足である大船渡線・気仙沼線の全線復旧を、JR東日本の責任で早期に実現するよう国が指導・助言をおこなうこと。

<原発>

1、原発ゼロをただちに決断し、稼動原発は止め、女川原発を含めた原発再稼働は一切やめ、輸出も中止すること。20183月に野党4党が共同提出した「原発ゼロ基本法案」を早期に審議すること。再生可能エネルギーの比率を大幅に増加させる「エネルギー基本計画」に改定すること。

1、東京電力福島第一原発の廃炉作業は、安全・安心を最優先しておこなうこと。柏崎刈羽原発の再稼動はやめ、福島第一・第二原発の廃炉に集中するよう東京電力を指導すること。福島事故処理費用は国と東京電力の責任とし、安易に国民負担にしないこと。

1、原発廃炉事業を国家プロジェクトに位置づけ、作業に従事する労働者の被ばく・健康管理、多重下請け構造を是正し、労働者を直接雇用とすること。

1、福島第一原発の汚染水は、長期的にタンク保管すること。海洋放出は、漁業や県産品への風評被害を引き起こすなど社会的影響が大きいため、多くの住民が反対しており、おこなわないこと。

1、国と福島県がすすめる「福島イノベーション・コースト構想」は住民の期待や関心は低く、温暖化をいっそう進める石炭火力発電の新設も含まれていることから、本計画は見直すこと。

1、除染による汚染土壌の再利用は行わず、放射性廃棄物の中間貯蔵と最終処分は国が全責任を負うこと。

1、福島の子どもたちの健康を守るため、事故当時18歳以下の全対象者の健康診査を継続し、18歳以下の医療費無料化を国の制度でおこなうこと。

1、避難者と帰還住民一人ひとりの実情に応じた住まいの確保、生業の再建、住民が要望する場所の除染をおこなうこと。また、医療や介護、商業施設、公共交通整備などのインフラ整備をおこなうこと。

1、昨年の台風、豪雨により、放射線の空間線量率が上がっている箇所があり、住民の要望に応え、避難区域外のフォローアップ除染をおこなうこと。除染にあたっては、福島県民の安心・安全の基礎となっている「毎時0.23マイクロシーベルト」を堅持すること。

1、福島の子どもたちに対する差別や偏見が生まれないように、放射能や放射線に対する科学的な知識と福島の現状をあらゆる機会を通して全国の学校や教育機関に周知すること。

1、リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト)は、一方的に撤去しないこと。必要な場所には新設すること。

1、原子力損害賠償は、時効を設けず、賠償に応じるよう法制化し、すべての被害者に原発事故がなければ発生しなかった被害、損害は国と東京電力が完全賠償すること。賠償請求の手続きを簡素化させ、賠償金は非課税にすること。

<財政施策等>

1、防災対策は「国土強靭化」の名による大型公共事業でなく、住民本位で予防と減災へ重点シフトすること。

1、被災地の復興・復旧を大きく妨げる消費税は当面5%に引き下げること。

1、震災・防災対策や避難所運営などに女性や高齢者の参加を促進し、意見を十分反映すること。被災地復興の新たな町づくりは、女性・高齢者・社会的弱者含め住民の声を反映してすすめること。

 

※データは以下よりダウンロード可能です。

【要請書】東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から9年、 国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください

 

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