2021年3月11日 災害支援

【要請】東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から10年、 原発ゼロの決断と、国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください

新日本婦人の会は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から10年にあたる3月11日、要請書を内閣総理大臣らに送付しました。

 

内閣総理大臣 菅 義偉 様
復興大臣 平沢勝栄 様
経済産業大臣 梶山弘志 様
文部科学大臣 萩生田光一 様
環境大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災)小泉進次郎 様
内閣府原子力委員会委員長 上坂 充委員長 様

 

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から10年、
原発ゼロの決断と、国の責任で生活と生業の復興・再生へ支援を強めてください

 

2021年3月11日

新日本婦人の会会長 米山淳子

 

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年、今も4万1241人(復興庁2月8日現在)が避難生活を余儀なくされ、全国各地で暮らす「自主避難者」も少なくありません。震災関連死は3767人(同2020年9月30日)と増え続けています。国の生活再建対策の不十分さと遅れは重大です。ところが昨年9月16日に閣議決定された菅内閣の基本方針から、東日本大震災や原発事故からの「復興」の記述が一切なくなったことは重大です。 住まい、生業、地域コミュニティーづくりをはじめ、健康的で当たり前の生活が送れるよう、政府の責任で一日も早く、被災者本位の生活再建支援を行なうよう強く要望します。

 福島第一原発は事故によって、原子炉の下のデブリだけでなく格納容器上部にも極めて高い放射性セシウムが大量にあることも判明しました。事故の収束や廃炉の見通しもたたず、放射性物質を含む汚染水は増え続けています。次つぎと原発周辺自治体の避難指示が解除されていますが、11市町村の帰還状況は、住民登録数(4万5543人)に対して31.4%(1万4322人)に留まっています(福島民友新聞調べ)。東電の津波対策不足を指導しなかった国の責任を認めた裁判は8件(2021年2月)に上っています。国と東電は完全賠償し、すべての被災者の生活と生業が再建されるまで責任を果たすことが求められています。

 大型台風や記録的な豪雨など、温暖化による異常気象が相次ぎ、大地震や火山噴火、豪雪に加え、新型コロナ感染症が広がり、国民の命が脅かされています。このような中で米製兵器爆買いなどの軍備増強や不要不急の大型開発はやめ、防災やインフラの老朽化、医療や復興へ、思い切った体制強化と財政投入をおこなうべきです。さらに社会保障切り捨てや消費税などによる貧困と格差拡大は、復興や、感染症対策、防災の妨げとなり、その転換が求められます。以下、強く要請いたします。

 

 <復興支援>

1、復興庁の2031年までの存続が決まったが、国は被災者の生活と生業の復活、再生へ最後まで責任を持つこと。被災自治体が負っている復興事業費の一部は、自治体負担をなくすよう復興財源を確保し、さらに自治体が自由に使える財源もつくること。

1、被災者生活再建支援法の上限を500万円に引き上げ、支給対象は半壊・一部損壊などさらに拡充し、被害戸数にかかわらず適用できるようにすること。二重ローン解消へ収入基準を見直し、引き上げること。

1、仮設住宅、みなし仮設からの一方的な追い出しはせず、支援を継続すること。在宅被災者の実態調査、支援を強めること。災害公営住宅への入居資格を緩和し、在宅被災者を含む希望者全員が入居できるようにすること。収入超過世帯も含め、被災者が住み続けられるよう、家賃減免措置等を継続する法整備をすること。仮設退去時の備品譲渡は、希望する全仮設入居者を対象にすること。

1、被災者の医療費、介護保険等の一部負担金(利用者負担)の免除継続へ国は財政支援をおこなうこと。

1、被災自治体の職員採用、派遣職員の受け入れにかかる経費の全額を国が負担する震災復興特別交付税による

措置を復興が完了するまで継続し、拡充すること。

1、生活支援員を増員し、仮設住宅や災害公営住宅の被災者、在宅被災者の孤立や孤独死防止、心のケアのための見守りや相談を強化すること。コミュニティーの維持、精神疾患や認知症などへの対応策を強化すること。 

1、心のケアを必要とする子どもが増えており、正規教員による1000人の教育復興加配を継続・拡充すること。

養護教諭の複数配置、スクールカウンセラーの全校常時配置、中学校区単位でのスクールソーシャルワーカ

ーの配置、児童福祉司、児童心理司の大幅増員をおこなうこと。

1、災害援護資金の返済は、各人の実情に合わせ、一方的な取り立てはおこなわないこと。

1、生業の再建を希望する企業や事業者に対するグループ補助金等の支援策を継続・拡充すること。補助を受けた事業者のフォローアップを講じ、返済は各事業者の実情に合わせ、一方的な取り立てはおこなわないこと。台風やコロナ禍、漁獲量大幅減で復興が遅れている沿岸漁業・水産加工業に追加の支援をおこなうこと。

1、暮らしに欠かせない住民の足である気仙沼線の全線復旧を、JR東日本の責任で早期に実現するよう国が指導・助言をおこなうこと。

<原発>

1、原発ゼロをただちに決断し、稼動原発は止め、女川原発を含め原発再稼働、および老朽原発の延命は行わないこと。20183月に野党4党が共同提出した「原発ゼロ基本法案」の審議を直ちに開始すること。2030年までに石炭火力発電は廃止し、二酸化炭素排出を50%以上削減(1990年比)させ、2050年には再生可能エネルギー100%とする「エネルギー基本計画」に改定すること。

1、東京電力福島第一原発の廃炉作業は、安全・安心を最優先しておこなうこと。柏崎刈羽原発の再稼動はやめ、福島第一・第二原発の廃炉に集中するよう東京電力を指導すること。福島第一原発事故処理費用は国と東京電力の責任とし、国民負担にしないこと。

1、2月13日の福島県沖地震で発覚した3号機の地震計故障放置や柏崎刈羽原発でのIDカード不正利用など相次ぐ重大な違反と報告の遅れは許されず、東京電力に速やかな公表と、安全対策を講じるよう指導すること。

1、原発廃炉事業を国家プロジェクトに位置づけ、作業に従事する労働者の被ばく・健康管理、多重下請け構造を是正し、労働者を直接雇用とすること。

1、福島第一原発から発生し溜まり続けるトリチウム汚染水は、長期的なタンク保管をしつつ、世界の英知を集めて解決すること。漁業者をはじめ多くの県民が反対している海洋放出はおこなわないこと。

1、除染による汚染土壌の再利用は行わず、放射性廃棄物の中間貯蔵と最終処分は国が全責任を負うこと。

1、帰還困難区域の「除染なき避難指示解除」の方針は撤回すること。

1、「県民置き去り」「惨事便乗型」の「福島イノベーション・コースト構想」を見直し、避難者や県民のくらしと福祉を最優先に復興事業をすすめること。

1、福島の子どもたちの健康を守るため、希望する事故当時18歳以下の対象者には、健康診査を継続し、18歳以下の医療費無料化を国の制度でおこなうこと。

1、避難者と帰還住民一人ひとりの実情に応じた住まいの確保、生業の再建、住民が要望する場所の除染をおこなうこと。また、医療や介護、商業施設、公共交通などのインフラ整備をおこなうこと。

1、住民の要望に応え、避難区域外のフォローアップ除染をおこなうこと。除染にあたっては、福島県民の安心・安全の基礎となっている「毎時0.23マイクロシーベルト」を堅持すること。

1、福島の子どもたちに対する差別や偏見が生まれないように、放射能や放射線の危険性を含め、科学的な知識と福島の現状をあらゆる機会を通して全国の学校や教育機関に周知すること。

1、リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト)は、一方的に撤去しないこと。必要な場所には新設

すること。

1、原子力損害賠償は、時効を設けず、賠償に応じるよう法制化し、すべての被害者に原発事故がなければ発生しなかった被害、損害は国と東京電力が完全賠償すること。賠償請求の手続きを簡素化させ、賠償金は非課税にすること。

<財政施策等>

1、被災地の復興・復旧を大きく妨げる消費税は当面5%に引き下げること。

1、防災対策は「国土強靭化」の名による大型公共事業でなく、住民本位で予防と減災へ重点シフトすること。

1、震災・防災対策や避難所運営などにジェンダー視点をすえ、女性や高齢者の参加を促進し、意見を十分反映すること。被災地復興の新たな町づくりは、女性、高齢者、社会的弱者含め住民の声を反映してすすめること。

 

※データは以下よりダウンロード可能です。

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