2021年4月6日 大会・中央委員会決定

第180回中央委員会決定

 新日本婦人の会は3月27日、第180回中央委員会を開き、以下の決定と特別決議を採択しました。(4/10号に掲載しています)

 

コロナ対策、平和、ジェンダー平等こそ!
女性の一票で変えよう!
大きな新婦人になって第30回全国大会を成功させよう

 

1、激動の情勢 ―声をあげ、動かす女性、新婦人

 第179回中央委員会(2020年8月1日)後、新型コロナウイルス感染はさらに拡大し、日本でも世界でも格差是正や人権、ジェンダー平等を求める女性や市民の運動が大きく広がっています。
 安倍政権を継承し、自助・自立を強調する菅義偉政権が誕生して7カ月、コロナ対策、ジェンダー、平和など、どの問題をとっても行き詰まり、今秋までにおこなわれる衆議院選挙は政権交代の大きなチャンスです。
 新婦人は10月31日、第30回全国大会を開催します。ともに声をあげ、行動し、選挙で変えようと仲間を大きく増やし、成功させましょう。

 

(1)コロナ禍の情勢と大きな変化

〈立ち上がる女性たち〉

 コロナ禍のもと、非正規やケア労働、女性蔑視発言など日本の政治・社会の根深いジェンダー問題があぶりだされ、「#わきまえない女」がSNSのトレンド(最新の話題)となるなど、女性たちの声と行動が大きく高まっています。
 東京五輪・パラリンピック組織委員会森喜朗前会長の「女性がたくさん入っている理事会は、時間がかかる」の発言に、女性たちの怒りが噴き出し、辞任に追い込みました。
 コロナ禍で女性の困窮は深刻さを増し、実質失業の女性は100万人を超えています。各地で支援活動や相談会、自治体や国への要請を強め、非正規労働者への休業支援金の改善、小学校休業等助成金の個人申請の実現、40年ぶりの義務教育標準法改定で35人学級、また生理用品提供へと前進させています。
 選択的夫婦別姓や「性的同意」の刑法改正、意思決定の場に女性をなど各分野から声があがり、同性婚否定は違憲との初の札幌地裁判決も下りました。
 菅政権は、新型コロナ第4波への多くの懸念があるなか、年明けからの緊急事態宣言を3月22日、全面解除し、東京五輪も開催ありきで強行しようとしています。「小出し」「後手」の対策のまま、PCR検査の抜本拡充、本格的な休業補償や医療支援、ワクチン接種などはすすまず、暮らしと営業は追い込まれています。
 日本学術会議会員の任命拒否、過去最高額の大軍拡の一方で、高齢者医療費2倍化法案と病床削減推進法案、ケア労働の待遇改善に逆行する保育士や看護師の規制緩和、市民監視のデジタル法案など、暮らしと憲法破壊の政策をすすめ、大きな矛盾に直面しています。
 さらに、ルール破りの相次ぐ「深夜」飲食、放送・携帯電話をめぐる首相への忖度の官僚接待と贈収賄、政権党の劣化と底知れぬ金権腐敗体質に批判がつよまっています。

〈世界と連帯、いまこそ政権交代を〉

 1月22日、核兵器を史上初めて国際法上違法とした核兵器禁止条約が発効しました。これは広島・長崎の被爆者をはじめ、私たち市民社会の長年の努力と、世界の圧倒的多数の政府の共同で実現した画期的成果です。条約批准に背を向けつづける唯一の戦争被爆国の日本政府に対し、内外から批判があがっています。
 コロナ危機のなか、利潤追求の資本主義を問い、コロナ後のよりよい世界へと、格差是正、医療・社会保障、気候危機へのとりくみ加速、ジェンダー平等と平和で公正な世界を求める声が高まっています。香港やミャンマーでは人権と民主主義をかけた市民のたたかいが続いています。
 日本でも、市民と野党の共同で各分野の運動が広がっています。野党が共同して、コロナ対策に税金をと予算の組み替え案をはじめ「いのちと個人の尊厳を守る」政策実現のために、59の法案を提案していることは希望です。新婦人は野党統一候補の勝利へ会をあげてとりくみ、党派別選挙では、「これからのエチケット―政党支持の自由について」で大いにおしゃべりし、確かな選択を広げます。
 日本国憲法公布と女性参政権行使75年の今年、各地で重要な選挙がつづきます。女性の一票で新しい政治を実現しましょう。

 

(2)この間の努力と活動

 コロナ禍であらゆる活動が制約されるなか、つながって声をあげる新婦人の役割を確信に、知恵と工夫であらたな活動を切り拓いてきました。

〈「困った」や平和の運動と大きな成果〉

 子どもや働く女性たちの生の声を聞くアンケートが各地でとりくまれ、初めて自治体に要請した支部や班もあります。会員や女性たちの「困った」の声を届け、各地でPCR検査の拡充、少人数学級の前進、さらに子ども医療費助成の拡充やひとり親世帯への独自の給付金などを実現した経験も生まれています。困窮する学生支援とともに女性支援への食料・日用品配布や相談会を共同や独自で開いています。
 カジノ誘致反対、公共交通の整備や道路の白線ウオッチングなどバリアをなくす運動にもとりくんでいます。「コロナ禍だからこそ、この署名を」と2021年度予算案への新婦人「秋の行動」3署名は、過去最高数の60万4699人分を国会に提出し、どの分野の署名もこれまで以上に積み上げました。
 被爆75年「平和の波」行動は、コロナ禍でも班や会員ができることをと、平和の鐘つきやスタンディング、原爆のパネル展や高校生の絵展などにとりくみました。オンライン開催となった原水爆禁止2020年世界大会と核兵器なくそう女性のつどい、21年3・1ビキニデーは初参加の人も各地で視聴し、ヒバクシャ国際署名は全国連帯で140万6737に達しました。
 1・22核兵器禁止条約発効日お祝い行動はスタンディングをはじめ多彩にとりくまれ、新婦人100万を目標に開始した日本政府に条約参加を求める署名(条約批准署名)は現在12万、9条改憲NO!緊急署名は20万を超えています。
 辺野古新基地建設中止を求め、「政府の設計変更申請を不許可に」と沖縄県知事あての意見書送付にとりくみ、いま菅首相・バイデン米大統領へのハガキ運動をすすめています。
 防災カフェや温暖化・プラごみ問題の学習会、避難所改善の申し入れ、東日本大震災から10年の3・11を中心とする原発ゼロ、被災者支援強化の行動にとりくみました。種苗法改悪反対署名が広がり、県産小麦を使用する給食パンの運動も学ばれ、産直運動やみそづくりをチラシで知らせて会員を迎えました。オンラインを使った学習や生産者との交流もおこなわれています。
 選択的夫婦別姓の妨害や女性蔑視発言の自民党と閣僚への機敏な抗議、第5次男女共同参画基本計画への意見提出、ジェンダー署名や自治体意見書運動が粘りづよくとりくまれています。新婦人しんぶんやカルタなどでジェンダーカフェやおしゃべり、『女性&運動』4号を使った新婦人学校「女性史・ジェンダー編」開催が広がっています。

〈つながって仲間づくり、オンラインへの挑戦〉

 この間、SNS上で一人の会員がよびかけた「#新婦人に入ろう」に応えて、各地で「私も何かしたい」「ジェンダーについて学びたい」「同じ思いの人とつながりたい」と入会や問い合わせが相次いでいます。また、近所で、気軽に、何かしたいと、健康系や初心者向けのスマホ小組が人気で、昨年8月以降294の要求別小組(サークル)が誕生しています。
 集まっておしゃべりする活動に制限があるなか、感染対策を徹底して集まる工夫も重ね、声をかけ合って、班ニュースなどでつながる努力をつづけてきました。創立記念の新婦人しんぶん号外(15万枚)や毎週のしんぶんを読み合い、会の活動と運動の成果に確信を持って仲間づくりにとりくむ会員が広がりました。1人と2部などの目標を持ち、SDGsや運動、小組、会の紹介を載せたチラシをつくって、広く女性たちにアピールし、新しい仲間を迎えることで班活動に活気が生まれています。大きく増やすことはできなかったものの、こうした努力で2年前と比べても退会者を少なくとどめています。
 この間、オンラインへの挑戦が一気に広がりました。学習会や委員会の会議、全国の都道府県本部活動交流会など、経験を学び合う機会が増え、新たな活動への力となっています。

 

(3)次世代のなかでの新たな可能性

 子どもの接し方や性教育、LGBTQなど、学んで交流するカフェが各地で開かれ、LINEグループで出された声から要望し、「制服の選択制が実現」「削られた学校の業間休みが復活」「就学援助の申請の変更」などの改善をかちとっています。「つどう・つながる☆次世代交流会part3@オンライン」(3回)では、過去最多の450人が参加し、こうしたとりくみの数々を聞き合いました。「あきらめを乗り越え、声をあげれば変わるという体験を私も」などの感想が寄せられ、新たな企画づくりや新委員の誕生にもつながっています。
 オンラインならではの「夜8時から集まる」「途中参加、途中退出もOK」「読んでなくてもいい!ブックトークカフェ」「週末1時間限定のジェンダー学習」などのやり方で、これまで活動に参加できなかった会員の参加が広がっています。

 

2、活動方針―「ともに声をあげる」「仲間をふやす」「選挙で変える」を全国各地で

 

(1)いまこそ班からみんなで

 「おしゃべりできる場があってよかった」「ご近所なら署名を広げられる」「知り合いを会員に迎えた」―コロナ禍のなか、みんなのよりどころとして、あらためて大切さが明らかになった班活動を大事にしましょう。
○毎月の班会・しんぶんタイムを大切にし、班会や小組は感染予防対策を徹底し、広い会場やオンラインなどで工夫して開きましょう。3部配達・集金にも、みんなでとりくみましょう。
〇集まってみんなの「モヤモヤ」、まわりの女性たちの状況も出し合って、「困った」や要求でできることから行動しましょう。署名やスタンディング、産直や〝女性平和基金の1本〟など運動や小組、カフェで、どこからでも活動の参加を広げましょう。
○つながって声あげる仲間をふやそうと話し合って、目標を持ち、誘いたい人を出し合い、あらゆる活動で会員を迎えましょう。「#新婦人に入ろう」「#一緒に変えよう」を入れたチラシやポスター、SNSで知らせ、新婦人しんぶんの宣伝紙を活用しましょう。
○「憲法・SDGs&選挙」のタイムやカフェを開き、「選挙で変えよう」と、「これからのエチケット~」も大切におしゃべりし、政権交代への確かな選択へつなげましょう。

 

(2)運動さらに広げ、切実な要求の実現を

 どの分野でも署名を引き続き大切にし、新婦人しんぶんを力に、運動でつながった女性たちをどこでも会員に迎えましょう。

〈コロナ―暮らし・雇用、社会保障、教育〉

〇PCR検査拡充、医療機関への補填、十分な休業補償を基本に、引き続き「困った」の声を自治体や国に届け、今こそ消費税5%への減税をと要求しましょう。
〇高齢者医療費2倍化法案、病床削減推進法案の廃案、生活保護の扶養照会の廃止を求めましょう。看護師、保育士の規制緩和に反対し、ケア労働の待遇改善を要求しましょう。
〇少人数学級の本格的実施を各自治体へ迫りましょう。「ギガスクール構想」のもと、一人一台のタブレット配備(高校は自費購入)が始まるなか、「困った」をキャッチし行動しましょう。高すぎる制服代、制服の選択制や廃止など、当事者とともに要請しましょう。
○引き続きバリアをなくす運動を広げましょう。

〈女性の人権、ジェンダー平等〉

〇コロナ禍での女性の実態を出し合い、できることを話し合いましょう。自治体や国への要請、困窮する女性たち向けの女性支援・相談会にも工夫してとりくみ、生理用品の無料提供を求めて要請をつよめます。生活保護や就学援助、各種制度・相談の活用を広げましょう。
〇ジェンダーカフェやおしゃべりで、「ジェンダー平等へと変える一票を」と話し合いましょう。
〈環境・防災、食と農〉
○わが町の災害危険度について学び、段ボールベッドなど人権とジェンダー視点を生かした避難所、プラごみ削減など気候危機対策を国、自治体、企業に要請し、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換を求めましょう。
○産直運動とSDGsをチラシで知らせ、「食と家族農業」などオンライン学習や生産者との交流をすすめましょう。地場産・県内産の食材でゆたかな学校給食を実現しましょう。

〈平和―憲法、核兵器、基地〉

○平和の2署名(9条改憲NO!緊急署名と条約批准署名)は、5・3憲法集会や夏のとりくみなどそれぞれの節をもち、新婦人100万目標の一日も早い達成をめざしましょう。デジタル監視法案、敵基地攻撃能力保有の危険性を学び、ストップさせましょう。
〇2021年国民平和大行進に工夫してとりくみ、原水爆禁止世界大会と核兵器なくそう女性のつどい、「平和の波」行動を成功させましょう。原爆パネル展、高校生の絵展を地元の学校や公共施設で日常的に開きましょう。
○辺野古新基地建設中止を求める日米首脳へのハガキ運動をさらにすすめ、地方議会に日米地位協定の抜本改定、核兵器禁止条約批准の国への意見書を求めるとりくみを広げましょう。

 

(3)次世代の「声をあげる」「直接体験」「ホントに変える!」さらに

〇ジェンダーや子育て、暮らしや政治、選挙など、気軽に学べるよう、オンラインも活用し、短時間でもエンパワーメント(力をつける)できる場づくりをと挑戦しましょう。出されたつぶやきや「困った」の声から、自治体交渉などの直接体験につなげ、仲間に迎えましょう。
〇仲間づくりやジェンダー、直接体験、SNS、選挙、赤ちゃん・親子リズム小組の工夫や経験を学べる「つどう・つながる☆次世代交流会@オンラインpart4」を6月2日(水)、6日(日)に開催します。
〇委員会は、次世代交流会のDVDや『女性&運動』7号を活用し、委員会や会議に次世代が複数で参加できるように工夫し、話せる場、相談できる場をつくっていきましょう。若い世代の中央委員や「次世代にどうつなぐか」の交流会も開きます。

 

(4)委員会は仲間づくりの先頭に

 「歴史的な第30回全国大会を必ず前進で迎えよう」を合言葉に、委員会はその先頭にたちましょう。
〇第30回全国大会目標を据え、必ず前進で迎えるために、特別の推進体制をつくってとりくみを強めましょう。「19~25日全国連帯仲間づくり期間」を位置づけて毎月前進、大会現勢突破と目標達成の班・支部を次つぎ広げましょう。どの自治体でも女性の声が届けられるよう、新婦人のない地域に新たな班を、直属班は支部づくりに挑戦しましょう。
〇委員会は、班や支部の活動や到達、努力していること、悩みも出し合い、委員みんなで仲間づくりの援助を強めましょう。班が目標を持ち行動する援助、ポスターやチラシでなどみんなの目に届くよう広げていきましょう。
〇オンラインも活用し、委員どうし情報を共有し、互いに学び合って仲間づくりをすすめましょう。都道府県本部常任委員対象の全国交流会を6月12日(土)に開催します。
〇新婦人学校(歴史と活動編、女性史・ジェンダー編)にひきつづきとりくみましょう。

 

【特別決議】暮らしと憲法こわす菅政権医療改悪2法案、市民監視法案は廃案に!大軍事化と改憲策動は許しません!

 菅政権は、新型コロナウイルスの変異株や再拡大への対策が急がれる今国会で、いのちと暮らし、憲法をこわす重大な法案を一気に通そうとしています。
 高齢者医療費2倍化法案(健康保険等改定案)は、370万人を対象に75歳以上の医療費窓口負担を現在の1割から2割に倍増させるものです。ただでさえコロナ禍ですすむ高齢者の受診控えに追い打ちをかけ、重篤化や手遅れを招くことは明らかです。
 病床削減推進法案(医療法等改正案)は、消費税収を財源に全額国費の「給付金」を付けて、病床削減や公立・公的病院再編統合の推進をねらう悪法です。コロナ危機で、医療分野の脆弱さが浮き彫りとなり、支援と拡充こそ求められる時に、政府が医療破壊をすすめるなど許されることではありません。

 3月中にも衆院で強行可決をもくろむデジタル関連法案は、内閣総理大臣を長とする強力なデジタル庁を設置し、マイナンバー制度を軸に多様な個人情報を一元管理し、民間企業による個人情報の利活用や政府と警察による市民監視を可能にするなど、危険なねらいがあります。法案には、憲法13条に保障されている個人のプライバシー権保護の規定がなく、関連6法案を束ねて拙速な審議で成立させようとする国会軽視も、ぜったいに許されません。
 菅政権下で初の自民党大会は「改憲発議」を強調し、憲法審査会を動かして国民投票法改定案の強行採決をも視野に入れています。敵基地攻撃能力の保有などをすすめる2021年度軍事費は過去最大の5兆3000億円を超え、思いやり予算協定も延長、米軍の無法な超低空飛行訓練などで全国各地に被害が急増しています。

 日米両政府は、外交・軍事担当閣僚会合(2+2)を開き、中国に軍事的に対抗するための日米同盟の抑止力・対抗力の強化、沖縄・辺野古新基地建設の推進などを確認しました。中国による香港などへの人権弾圧や海洋での軍事行動などは決して許されませんが、これに軍事で対抗すれば大変な事態となります。日本は、憲法9条を持つ国として、対話による外交努力をおこなうことが何より大切です。

 新日本婦人の会は、医療改悪2法案と市民監視法案の廃案、大軍事化と改憲策動を許さないために共同を広げ、宣伝と「平和の2署名」はじめ各種署名を積み上げ、「今こそ憲法が生きる政治を」の世論を高めます。来たる衆議院選挙で菅政権に代わる野党連合政権を必ず実現しましょう。

 

2021年3月27日
新日本婦人の会
 第180回中央委員会

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