2021年4月23日 声明・談話・要請など

【要請】RCEPの参議院での徹底審議を求める要請書、入管法改定案 廃案を求める要請書

新日本婦人の会は、4月20日【要請】[家族農業を衰退させ、食料自給率を低下させるRCEPの衆議院での拙速な承認に抗議し、参議院での徹底審議と国民的な議論を求めます] 、4月23日【要請】[さらなる人権侵害につながる条約違反の入管法改定案は廃案にするようつよく求めます]を内閣総理大臣らに送付しました。

 

 

内閣総理大臣   菅義偉 様
農林水産大臣 野上浩太郎 様

家族農業を衰退させ、食料自給率を低下させるRCEPの衆議院での拙速な承認に抗議し、
参議院での徹底審議と国民的な議論を求めます

 

2021年4月20日

新日本婦人の会
会長 米山淳子

 


 国内農業に甚大な影響を及ぼすRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)の承認案について、政府は協定内容を国民に知らせないまま、衆議院外務委員会での審議をわずか8時間で打ち切り、衆議院を通過させたことに強く抗議します。

 RCEPはASEAN10カ国および中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと日本の15カ国が参加する、広範な分野の貿易、経済協定です。その中でもとりわけ農産物の関税撤廃によって、国内農業は深刻な打撃を被ります。日本では長年の輸入依存政策によって農業基盤が崩され、食料自給率はわずか37.8%にまで落ち込む危機的な状況となっています。

 政府はRCEPについて、「重要5品目は関税撤廃から除外したので、農業への影響はない」と説明しますが、わずかな審議時間の中でも、野菜や果実貿易の中心であるRCEP諸国との関税撤廃で、「国内の農業生産が5620億円超減少」「野菜、果樹農家に大きな打撃となる」と指摘されています。野菜の輸入生鮮野菜の8割はRCEP圏産であり、果実の自給率がわずか39%に低下する中で、関税撤廃されれば、中山間地域の農業や新規就農者の経営を支える農産品の生産が直撃を受け、また米の消費減、米価暴落のなか転作への道も閉ざすもので、許されません。

 RCEP推進は、日本政府が賛同した国連の「家族農業の10年」の趣旨にも、食料自給率向上を掲げる政府の方針にも反します。地球温暖化によって異常気象や災害が頻発し、途上国での食料需要が高まるなか、自国での食料生産を高める努力が求められるときに、他国への依存を強めることは、国民の命を危険にさらすものです。

 私たち女性、国民は、地方経済や文化、環境保全を担う国内農林漁業の振興、食料自給率向上、食の安全を望んでいます。

 RCEP承認案の参議院での徹底審議と国民的な議論を改めて強く求めます。

 

 

 

 

内閣総理大臣 菅義偉 様
法務大臣  上川陽子様

 

さらなる人権侵害につながる条約違反の
入管法改定案は廃案にするようつよく求めます

 

2021年4月23日

新日本婦人の会
会長 米山淳子

 

 今国会で審議中の出入国管理法改定案は、入管行政の裁量拡大と厳罰化をすすめるもので、「保護が必要な人を適切に保護する」という原則に照らして重大な問題があり、成立させることは絶対に認められません。廃案にするよう、つよく求めます。

 日本は「移民政策はとらない」としつつ、経済界の求めに応じて「安価な労働力」として外国人の受け入れを拡大してきました。外国人の基本的人権を尊重した雇用、教育、社会保障などの支援制度は整備されず、不当な労働条件や雇止めなど、人権侵害が横行しています。

 在留資格を失った外国人に対しては、「全件収容主義」のもと、「まるで刑務所だ」と言われるような劣悪な環境での長期収容が常態化しています。学費を払えないために資格を失って収容された若い女性がまともな医療も受けられず死亡するなど、痛ましい事態が相次いでいます。

 改定案は、一定の要件を満たす外国人に入管施設外での生活を認める「監理措置制度」を設けるとしていますが、入管庁の裁量で決まること、収容期限に上限がないこと、外国人支援にとりくむ団体や弁護士が「監理人」になれないなど、長期収容の問題が改善される保証はありません。

 改定案が、難民申請中は強制送還しないというルールに例外を設け、同じ理由での申請は事実上2回までとしているのも問題です。日本は難民の定義が狭く、認定率が0.4%ときわめて低いため、何回も申請が繰り返されています。難民の定義を国際水準に改め、独立した第三者機関が認定を行うなどの抜本的な改革こそ必要です。

 さらに、国外退去を拒んだ場合の罰則の創設は極めて重大です。帰国できない人は、難民申請者や移民労働者とその家族です。配偶者や子どもがいる、日本で生まれ育っている、強制送還になれば迫害や命の危険もあるなど、保護されるべき人たちです。

 改定案に対しては、国連人権理事会の4人の特別報告者らが「国際的な人権基準をみたしていない」と指摘し、当事者や支援者との協議を求めています。「移民・難民の排除ではなく共生社会を」と、多くの若者も反対の声を上げています。

 改定案は廃案にし、日本が批准している難民条約や国際人権規約にもとづき、国際水準にふさわしい法制度へ抜本改革をおこなうよう、重ねてつよく求めます。

 

※データは以下よりダウンロード可能です。

家族農業を衰退させ、食料自給率を低下させるRCEPの衆議院での拙速な承認に抗議し、参議院での徹底審議と国民的な議論を求めます

さらなる人権侵害につながる条約違反の入管法改定案は廃案にするようつよく求めます

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