2022年11月17日 アクション

学校給食は無償に!食材は地場産、有機食材を!

 

学校給食は無償に!食材は地場産、有機食材を!

 

 新型コロナウイルス感染拡大による一斉休校をきっかけに、その重要性が認識された学校給食。子どもたちの育ちを保障するために「学校給食は無償に」「安心できる食材を」と願う声が、日に日に高まっています。新婦人は11月11日、「給食無償化&地場産、国産、有機食材に!オンライン学習交流会」を開き、運動を進めるためのポイントや学校給食無償化を実現した青森支部の経験などを学び合い交流しました。3つの講演を紹介します。

 

なぜ給食が必要かいま、なぜ無償化か
群馬県「学校給食費の無料化をめざす会」代表世話人 石田清人さん

地域の声を届けること

 

 群馬では、2014年に新婦人県本部と教職員組合を中心に、「学校給食費の無料化をめざす会」がスタート。県に対して半額負担の申し入れを皮切りに運動を発展させてきました。現在、県内4割の14市町村で完全無料、8割を超える自治体で何らかの補助が実現しました。またこの間の物価高騰を受けて、3自治体が時限的な完全無料を実施しています。

 沼田市は昨年、会の請願を全会一致で採択しました。今年おこなわれた市長選では、地元の新婦人が公開質問状で事前アンケートを取ると、候補者全員が給食無料化を公約。来年度予算での制度化が注目されています。沼田市以外にも運動すると情勢が動くケースが多数あります。地域の願いを議会や行政に届けることが重要です。

 

子どもたちの命と健康のために

 

 自治体に交渉するためには、法的根拠が重要なポイントになります。過去にも文科省は「学校給食費も無償化することが理想」と国会答弁していますが、今年4月の文科省の事務連絡は、食材高騰による保護者負担軽減のために「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用を可能とするとしました。これは行政による補助を、政府が認めたという具体的な事実です。

 

 学校給食は戦後から現在まで、子どもの健康と命を守る役割があります。憲法26条で義務教育の無償が定められ、給食食材費も教科書無償と同じく無償と考えるべきなのです。また、「食育基本法」は「給食が単なる栄養補給ではなく教育の重要な一環である」とし、「食育」の持つ意味はいよいよ重要です。ユネスコも「学校給食はすべての学校で自校方式でおこなうこと、運営費は中央あるいは地方行政当局の負担とする」と勧告しています。

 

予算の1%で実現!

 

 運動を進めるうえで課題もあります。「お金がかかりすぎる」と行政側は言いますが、自治体の大小に関係なく予算のほぼ1%で実現が可能で、その1%の支出を決断するかしないかの問題なのです。子どもに真っ先に予算を使うことは、難しい理屈ではなく当然のことです。子どもにかかわる課題は多岐に渡りますが、私たちは全ての要求実現のために行動し、可能なものから実現を勝ち取るという姿勢を貫きたいと思っています。

 

 「政治には関心がない」という子育て世代も、給食費の話をしたとたん興味を示すなど、若い世代と結びつく可能性を大きく秘めています。多くの自治体に懇談や申し入れをおこない、無料化の意義や効果を粘り強く伝えましょう。そして給食費の無償化は国の責任でおこなうべき、と国への意見書を上げることも求めましょう。学校給食費を無料にした自治体では、幼稚園、保育園の給食食材費の無料につながっています。

 

 子どもの権利や憲法の理念の実現の突破口ともなる学校給食の無料化を、みなさんと勝ち取っていきましょう。

 

教育予算増やして給食無償に
日本共産党参議院議員 吉良よし子さん

 

 かつて文部省(当時)は国会で「教科書だけでなく学用品や、交通費、学校給食も無償にするのが理想」と答弁しました。2018年に私が文教科学委員会で国としての財政支援を迫ると、「4451億円もかかる」と政府は無償化を拒みましたが、つまりその額でできるということです。軍事費を5兆円も増やすより無償化費用こそ出すべきです。文科省の調査では、現在自校方式の給食は公立小学校の47・2%、中学校は25・5%です。給食食材費はもちろん、自校方式の実現や設備改修のための財政支援も必要です。

 

 給食無償をしない理由として、学校給食法11条「食材費は保護者負担」が根拠にされますが、文科省の通知、そして私の国会質問で、各自治体が全額補助することを否定しないという答弁を確認しました。今国会の代表質問でも、小池晃参院議員(共産)が岸田首相に確認し、首相も否定しませんでした。学校給食法は、給食無償をしない理由にはなりません。子どもたちの命綱である給食無償を実現させましょう。

 

一つひとつの食材から実現を
農民連会長 長谷川敏郎さん

 

地場産が生かされる条件づくりを

 

 地場産は地域や県内でとれたもの、有機栽培の基本は、有機物をしっかり土壌に入れて土づくりし、化学肥料や農薬にあまり頼らない育て方です。
 直近の文科省調査では、金額ベースの地場産農産物の比率は、全国平均で56%。国産は89%ですが、2年前の「食材数」の調査では、地場産26%、国産77・1%に下がります(右表)。まず国産を増やし、地場産の活用、条件のあるところでは有機栽培のものが求められます。

 センター方式、自校方式については、市町村合併や学校統廃合で小規模の給食センターの廃止後、大規模な給食センターにさせないことが大切です。給食センターの統廃合で大規模な給食センターとなった高知では、給食食材の納入規模が大きくなり、地元の納入業者では入札に参加できず、東京の大手給食食材メーカーが落札しました。一方、小規模・自校方式であっても、給食調理員さんの労働条件次第では、時間内に仕上げるために地場産でなく、一次加工した国産品などの使用割合が増えてしまうなど、労働条件なども一緒に考えなければなりません。

 

地域で生産される食べ物から学ぶ

 

 次に、なぜ地場産が大事なのか、です。野菜は旬のものこそ最も栄養価が高く、おいしく、値段も安い。化石燃料をたくさん使う遠距離からでなく、子どもたちが住む所でとれたものを食べる、身体と土は一つであるという「身土不二」の考えも大事です。また地場産を使えば、新鮮で、生産者の顔も見え、児童生徒の体験学習に利用でき、農薬や化学肥料について要望することも可能です。

 

 農民連はアグロエコロジーをすすめています。生態系の力を借りて農畜産業をし、自分たちの食べるものがどのように作られているのか、命の連鎖として「いただく」食べ物の意味や、環境を壊さないことで人も持続性・永続性を確保する。このことを学んでいくことが、学校給食の本来の目的とも言えるのではないでしょうか。

 

 文科省は食材ごとに地場産・国産の使用割合も調査しています。小麦や大豆を地元で増産し、輸入したものを使わないなど、一つひとつの食材で要求する運動も大切です。
総合的な地域力・調整力で進める 最後に「有機JAS」認証について、これは「2年以上、原則として化学肥料及び、化学合成された農薬を使用しない畑や田んぼで生産された」ことを第三者が認証するもので、「有機JAS」は全くの無農薬や農産物の品質保証ではありません。流通で有利になると取得をめざす農家もありますが、認証がなくても、安全・安心な農産物はたくさんあります。大事なことは農産物の自給率を高めるためにどうすればいいか、です。

 

 最後に、学校給食の内容が地場産・国産であるためには、行政の努力だけでなく、生産者や給食現場の労働者、納入業者やJAなど総合的な地域力・調整力が求められることを強調したいと思います。

 

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学校給食への公的補助を強め、地場産食材、有機農産物を使用するよう各市町村教育長へ求めましょう!

 

↓自治体との交渉に役立つポイントをまとめました!(PDF)↓

給食Q&A

 

↓自治体への要請文例(Word)↓

学校給食への公的補助を強め、地場産食材はもとより
有機農産物を使用して子どもたちの成長を保障してください

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