2024年5月22日 アクション

【抗議】離婚後共同親権の民法改定案の採決強行に抗議します

 

新日本婦人の会は、517日、【抗議】「離婚後共同親権の民法改定案の採決強行に抗議します」を発表しました。

 

内閣総理大臣 岸田文雄 様
法務大臣   小泉龍司 様

2024年5月17日

新日本婦人の会
会長 米山淳子

離婚後共同親権の民法改定案の採決強行に抗議します

 

 離婚後の共同親権をすすめる民法改定案が、多くの当事者、女性の声を踏みにじり、野党の大幅修正要請を退け、参院本会議で採決強行されたことに、怒りを込めて抗議します。

 

 婚姻や離婚など一人ひとりの人生に関わる法律改正を、数の力で押し切った岸田自公政権の国民の声無視の姿勢、日本維新の会の議員などによるDV被害者を加害者のように決めつける態度は、許されません。

 

 法案の最大の問題は、父母の合意がなくても離婚後共同親権を家庭裁判所が決めるというしくみをつくり、すでに離婚している人にも遡及されることです。小泉法務大臣の答弁は揺れ続け、「共同親権を誘導するが、合意がなければ単独親権にするべきだ」などと述べたものの、法案には明記されず、裁判になれば、時間もお金もかかり、精神的ストレスも増大し、単独親権をあきらめるケースが増えることも懸念されます。

 

 離婚後共同親権を推進してきた人たちは、身体的・経済的・精神的DVや虐待などから避難した被害者たちを「子どもの連れ去り」「偽装DV」などとして、離婚後も元配偶者や子どもの暮らしに干渉、支配、管理しようとしています。旧統一協会関連団体も「家族断絶予防を」と運動し、これらと結びついた自民党議員らがすすめてきたのです。彼らが導入の理由としていた面会交流は、現行法でも可能です。一方、養育費の支払いについて、法案には国の立て替え制度や徴収制度などはありません。

 

 「日常行為」や「急迫の場合」は単独親権が可能としていますが、何が「日常」で、何が「急迫」かが不明確で、裁判に訴えられたり、場合によっては損害賠償さえ求められる事態も想定されます。子どもに関する重要事項について常に合意を求められ、親の資力が要件となっている支援策や、親の同意等が要件となっている手続きは、法務省が把握しただけでも32項目にのぼるなど、次々と問題点が明らかになったにもかかわらず、採決を強行した責任は重大です。

 

 何よりも、子どもの最善の利益の優先と意見表明権の尊重が明記されていません。「子どもに対する親の権限」を振りかざすこととなる離婚後共同親権は、DV被害者親子をさらに追い詰めることになります。施行前に大幅な改正とともに、明治民法の家父長制の影響が強い「親権」という言葉や概念、制度の抜本的改正を求めます。

 

 

※データは以下よりダウンロード可能です。

 

【抗議】離婚後共同親権の民法改定案の採決強行に抗議します

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