2018年5月9日 ジェンダー平等

セクハラのない社会をつくるために 新日本婦人の会の緊急提言

 財務省福田淳一事務次官(当時)の女性記者に対するセクハラ問題は、安倍政権のセクハラに関する認識と人権意識の欠如、日本社会の課題を明らかにしました。監督者の立場にありながら福田氏をかばい続け、被害者を加害者のように扱う暴言を繰り返し、セカンドレイプ(二次被害)を広げ続ける麻生太郎財務大臣、安倍晋三首相らの責任は重大です。安倍政権に、もはや「女性が輝く社会」や「女性活躍」を語る資格はありません。

 

 

「セクハラは重大な人権侵害」を社会全体で共有を

 セクシュアル・ハラスメントは本人の意に反する性的な言動でその人の尊厳を傷つけ、生涯消えないトラウマとなる重大な人権侵害です。「すべて国民は、個人として尊重される」(13条)とした日本国憲法にも、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃をめざす女性差別撤廃条約にも、違反するものです。
 勇気を持って告発した女性がバッシングを受けたり、多くの女性が泣き寝入りせざるをえない現状を変えるため、セクハラはどのような言い訳も通用しない人権侵害であるとの認識を、学びを通じて社会全体で共有し、その根絶にとりくむことが求められています。

 

 

セクハラ根絶には政治的意思がカギ

 日本政府は、国連女性差別撤廃委員会など国連の人権機関から、法整備や教育など、性差別やセクハラ・性暴力をなくすための行動を繰り返し勧告されていますが、締約国として義務を果たさず、政治的意思を問われ続けています。この姿勢を根本的に変えることなしに、ジェンダーギャップ指数で144カ国中114位まで落ち込んだ日本のジェンダー平等の遅れも克服することはできません。

 

 

草の根から声をあげ、行動します

 新日本婦人の会は、1962年の創立以来、平和と女性の人権・地位向上を掲げ、家庭や職場、地域などの差別に声を上げ、行動し、共同して前進をつくりだしてきました。2014年には、全女性地方議員アンケートを行ない、議会での差別やセクハラ根絶を求めて要請を行なってきました。私たちは、セクハラのない、誰もが尊厳と人権を守られるジェンダー平等の社会の実現へ、#Me Too(私も被害者)、#We Too(私たちも)、#With You(あなたとともに)と草の根から社会的合意をつくる先頭にたつとともに、以下の5項目を緊急に実施することを提案します。

 

 

<5項目の緊急要求>

1.セクハラを擁護し、人権問題を理解しようともしない麻生財務大臣は即刻辞任し、安倍首相は罷免すること。福田氏セクハラ問題の幕引きは許されず、独立した第三者機関を設置して他の被害を含めて全容を解明し謝罪と厳正な処分、再発防止の手立てをとること

 

2.ただちに閣僚や国会議員、官僚、地方議員、公務・民間の職場、学校、メディアなどあらゆる場で、セクハラや人権、女性差別撤廃条約や勧告などの研修を行なうこと。政府の第 4 次男女共同参画基本計画に基づくセクハラ行為者への厳正な対処や再発防止、被害者の精神的ケア強化を徹底すること。被害者がいつでも安心して訴えることでき、解決の場となる、専門的知識と権限を持った専任の担当者を配置した相談窓口を設置すること

 

3.セクハラの禁止を明記し、加害者への厳しい罰則、被害者の保護と救済、支援などを盛り込んだ法整備を行なうこと

 

4.メディアと教育機関は、すべての人が大切にされ、お互いにリスペクトしあえるよう、セクハラ問題や人権意識の啓発をつよめること。テレビのCMや成人向け雑誌、SNS上などでの「性の商品化」や女性に対する固定的イメージや蔑視を助長する情報発信をやめ、学校教育の内容をジェンダーと人権の視点で見直し、性教育を積極的に推進すること

 

5.職場に蔓延するセクハラ問題にまともに対応せず、「働き方改革」一括法案を審議するなどありえず、廃案にすること。女性の人権をおとしめ、憲法をないがしろにし、うそと改ざん、隠ぺいを重ね、9条改憲とともに戦前の封建的家族制度の復活までねらう安倍政権は、ただちに退陣すること

新日本婦人の会

セクハラのない社会をつくるために 新日本婦人の会の緊急提言 

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