2012年1月26日 ジェンダー平等

謝罪と補償で被害女性の尊厳回復ただちに「平和路」で日本を見つめる少女の像

地球発 2012年1月号

新婦人国際部長 平野 恵美子

日本軍「慰安婦」問題の解決を求め、外務省を1300人で包囲(2011年12月14日 韓国の水曜デモ1000回に連帯して)

日本軍「慰安婦」問題の解決を求め、外務省を1300人で包囲(2011年12月14日 韓国の水曜デモ1000回に連帯して)

日本軍の「慰安婦」被害女性ハルモニ(おばあさん)たちが、真相の究明と責任履行による問題解決、名誉と人権の回復をもとめ、韓国の首都ソウルにある日本大使館前で初めてデモをしたのは、1992年1月8日水曜日のことでした。以来、2011年12月14日には1000回を迎えました。被害女性が初めて名乗りをあげてから20年、ハルモニたちは高齢化し次つぎ亡くなっていますが、日本政府は公式な謝罪と賠償を拒否し続けています。この日、新婦人も参加する戦時性暴力問題連絡協議会と日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010が主催して、1300人が「人間の鎖」で外務省を包囲しました。
1000回めの水曜デモの日、ソウルでは行動参加者が日本大使館前の道を「平和路」と命名、平和の碑の除幕式を行いました。平和の碑はイスに座った女の子の像、被害女性の少女時代をイメージし、ハルモニの姿をした影が過ぎ去った年月を表現しています。水曜デモと平和の碑の建立を語る碑文も。少女の目は、日本政府をまっすぐ見つめています。

少女像と、平和のことをともに考えようと置かれたいす(序幕後、帽子やマフラーひざかけがかけられた)―ソウルの日本大使館前

少女像と、平和のことをともに考えようと置かれたいす(序幕後、帽子やマフラーひざかけがかけられた)―ソウルの日本大使館前  

2010年10月13日の第939回水曜デモで「1000ウォン(約67円)平和の碑建設募金」が提案され、翌2011年11月9日の第995回デモまでに総額3732万7021ウォン(約251万7113円)が集まり、建てられた平和の碑。除幕後、少女が寒くないようにと帽子やマフラー、ひざかけがかけられました。
ハルモニと市民団体の運動で、昨年8月30日、韓国の憲法裁判所が韓国政府に対し、日本軍「慰安婦」問題の解決のために日本政府に積極的な外交処置をとらないことは憲法違反であるとの決定を下しました。日本政府は、「慰安婦」問題は1965年の日韓基本条約にともなって結ばれた賠償請求権協定で決着したとの立場を続けていますが、憲法裁判所は、当時その事実が知られていなかった「慰安婦」問題は協定の対象外であり、韓国政府は日本政府と外交交渉すべきであるとしたのです。決定を受けて韓国政府は日本政府に協議を申し入れましたが、日本側は拒否。12月18日には来日した李明博大統領が野田首相との会談で、「優先的に解決する勇気を」と呼びかけました。首相は決着ずみとの立場を崩さないばかりか、ソウルの少女像の早期撤去を要請するという不誠実な対応です。
1日も早い問題解決と被害女性の尊厳の回復へ、日本の私たちの運動を強めることがもとめられています。

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