2000年7月13日 未分類

国連特別総会 女性2000年会議に参加して希望・平等・平和・民主主義の世紀へ 草の根の運動こそ

新婦人 井上美代会長(参議院議員)レポート

国連特別総会「女性2000年会議」日誌

6月1日 日本政府国連代表部で公使説明会
6月2日 NGO歓迎集会・レセプション
6月3日 NGOワーキングセッション
6月4日 チャーチセンターでタペストリー展示
6月5日 国連総会開会
6月6日 成果文書討議委員会、特別総会傍聴
6月7日 IPU(列国議員同盟)三者会合
6月8日 成果文書討議の作業委員会傍聴
6月9日 日本人記者室で持参文書を渡し懇談
私は、6月1日~10日まで、新婦人国際部長の平野恵美子さんとともに、ニューヨークで開かれた国連特別総会「女性2000年会議―21世紀に男女平等、開発、平和めざして」に参加しました。
この会議は、1975年の国連による国際婦人年を契機に、メキシコ、コペンハーゲン、ナイロビ、北京とこれまで4回開催されている世界女性会議を引き継いで開かれました。北京会議で採択された「北京行動綱領」(以下「綱領」)はいまだ十分実施されてはいない、どうすれば実行あるものにできるのか。北京会議から5年後の今日、実施状況を検討・評価するとともに、さらなる行動・イニシアチブを検討することを目的とした会議でした。
私たちは世界のNGOと交流し、これまで重視してとりくんできた暴力や、性と健康、経済の地球規模化(グローバル化)の問題、人権侵害、政治参加など女性の地位向上はもちろん、平和、核兵器廃絶、アメリカを中心とする軍事行動による世界支配ではなく、国連憲章にもとづく世界の平和秩序を求める共同と世論をひろげたいと考え、NGO集会や政府間会議や、列国議会同盟が主催した初の「三者合同会合」(国連・政府・国会議員)に参加しました。
会議での討論は、「綱領」を再確認し、「綱領」実施の障害とその克服のための戦略に焦点をあててすすめられました。
NGO(非政府団体)は1日から国連ビル内外で会議を開き、討論結果を成果文書案に反映させるために活発に活動。政府間会議は5日から開始。本会議場では、アナン国連事務総長や議長のあいさつ、各国のスピーチが連日続き、同時進行で、成果文書案の検討が昼夜を分かたず論議されました。しかし、成果文書は9日最終日になっても合意できず、10日に持ち越し、早朝5時までかかってまとまり、午後本会議で採択となり、幕を閉じました。約199国の政府代表と、国連内外に6000~1万人ともいわれる数のNGOが集いました。
政府間会議が始まったとき、合意点は文書案の20%しかないといわれていました。経済のグローバル化の問題では、経済が地球規模で発展しても、必ずしも女性の自立に直接つながらず、女性の雇用悪化や貧困化につながるという主張と、企業の民営化や自由貿易の発展につながると対立しました。多様な性のあり方(同性愛や未婚のカップル)を選択する権利を認めることについては明記がないので、明記して「綱領」より一歩前進しようという欧米と、明記すべきでないというイスラム圏の国ぐにとの主張が対立。女性への暴力の問題ではインドなどでおこなわれている「ダウリ」(持参金が少ないなどの理由で女性を焼殺)やイスラム圏などでの「名誉殺人」(不道徳な行為を理由にした家族・親類による女性への殺傷行為)などの伝統的慣習について、西側の国は、女性への暴力であると主張して対立。
私たちが、成果文書に反映し、世界の女性に訴えたかった点はいくつかありますが、ここでは、いちばん強調したかった核兵器廃絶などの平和の問題に触れます。私たちが長年運動してきた人類の破滅をもたらす核兵器廃絶の問題は、4日、開催されたNGOの会議(世界60カ国以上500人以上の参加)で採択された「NGOグローバル報告書」には「勧告」として、「広島・長崎への原爆をはじめ、核兵器における被害の調査・研究と発表」など明記されていましたが、成果文書案ではまったく触れていませんでした。

97年の「核兵器なくそう女性のつどい」に参加したイーデス・バランタインさん(前・WILPF会長)と井上会長(ニューヨークのWILPF事務所で 6・5)

97年の「核兵器なくそう女性のつどい」に参加したイーデス・バランタインさん(前・WILPF会長)と井上会長(ニューヨークのWILPF事務所で 6・5)


私たちはこのことを重視して、平和運動で有名なNGOである婦人国際平和自由連盟(WILPF)が担当する「女性と武力紛争コーカス(会議)」に参加。「ニューヨークから、世界の女性たちへの共同の平和アピール」を提起しました。このアピールは、国際紛争の平和的解決と核兵器廃絶条約の早期締結、軍事費削減、NGOの尊重を内容としていました。各国代表はすぐに賛同してくれ、その場で起草委員を募り、会議終了後直ちに意見を出し合い、リーダーがコンピューターに打ち込んで、軍事費削減、軍縮促進など8項目の「女性と武力紛争コーカスからの声明」にまとめ、発表しました。私はこの声明作成に参加し、世界に積極的に働きかけることの重要性と、世界のNGOの柔軟性と水準の高さに学びました。
私たちはこのアピールにシルビー・ジャン国際民婦連会長やフランスの女性団体「女性の連帯」のリーダー、ソフィ・メルシェールさんと私の賛同署名を並べ、100カ国を超える国際民婦連加盟国への送付を約束しました。また、成果文書に反映させたい内容を「女性2000年会議への要望書」としてまとめ、沖縄サミット参加8カ国やアジア諸国、新アジェンダ連合8カ国(核兵器廃絶で活躍)などに届けました。
デモンストレーションする移民の女性たち (2日、NGO歓迎集会)

デモンストレーションする移民の女性たち (2日、NGO歓迎集会)


10日に採択された139項目からなる成果文書は不十分な点はありますが、「綱領」の早期実施と、この5年間に生まれた新しい問題へのとりくみも定期しています。
今後、日本母親大会、原水爆禁止世界大会、核兵器なくそう女性のつどいなど連続して開かれ、秋の国連2000年ミレニアム総会に向け運動を強化していきます。3月8日の国際婦人デーに始まり、10月17日の貧困絶滅デーまで、世界154カ国、4400団体の女性たちと連帯し、2000年世界女性行進を日本列島のすみずみから起こし、女性の積極的行動力で貧困と暴力に反対し、希望・平等・平和・民主主義を求める草の根からの運動を成功させていこうではありませんか。

「女性2000年会議」で10日合意された「政治宣言」と今後の具体策を盛り込んだ「成果文書」(要旨)

<政治宣言>

  • 北京行動綱領の実施に対する各国政府の誓約を再確認する
  • 「綱領」で採択された12分野の実現めざす
  • 非政府組織や女性団体が女性の地位向上の実現に向けて果たす役割と貢献を認識し、評価過程への参加を奨励する
  • 性の平等のため、男性もこの問題にかかわり、責任を負う

<成果文書>
【北京会議「綱領」実現への障害と各政府がなすべき行動】
☆貧困ー男女の収入差は広がり、失業も女性がより深刻で、経済の不平等は悪化しているー同一労働同一賃金を推進し、男女間の収入格差をなくす
☆教育ー2005年までに初等、中等教育における男女格差を解消し、2015年までに初等教育を義務化する
☆暴力ー婚姻内レイプ、女性にとって有害な伝統的慣習(名誉犯罪、強制結婚、ダウリ関連暴力、性器切除)の根絶に必要な手だてをとる
☆経済ー雇用や昇進差別、妊娠を理由とした差別、職場における性的いやがらせが依然残っているー経済資本、財産権など女性に平等な権利を認める
☆政治参画ー立法や行政において女性の地位は男性より低い状態がつづいているー公的機関で期限を定めて男女平等を進める
☆メディアー売春や定型化された女性像で女性を卑下する否定的、暴力的風潮がマスコミなでで広がっている

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